先日、3月のJUMP定例会@ZOOMが行われました。※参加してみたい方は是非お問合せください。その様子についてお伝えいたします!
ちなみに、定例会は毎月第4土曜日に、2時間で行っています。流れは・・・
①全体で課題の確認
②小グループで意見交換・議論
③全体で共有、議論
④鈴木先生によるまとめ
⑤会終了後の井戸端会議(希望者のみ)
基本的に毎回JUMPの知識を得る、深める、応用するための課題があります。色々な地域で教えている先生方が参加しているので、JUMP以外の情報交換の場としても!
間違いの原因を探る・知る必要性
さて、今回の課題は助詞でありがちな「間違い」の原因と対策について議論しました。
最近(と言っても結構前から)、言語教育界隈は「コミュニカティブコンピテンス」が主流ですね。「間違いは気にせずコミュニケーション重視。状況に応じたロールプレイを!」という感じでしょうか。また、日本国内では「やさしい日本語」というのも。
「間違いを気にしないどんどんコミュニケーションを」と言われて喜ぶ/恩恵があるのはどんな人でしょうか?
・ある程度(話したり聞いたりといった)言語力を持っている人
・言語を使ってみたい/使いたい人
・その言語を使う機会(予定)がある人
☝️こんな感じでしょうか?
教える場所、相手、動機など色々なことを踏まえて「間違いは気にしない」と決めるのは大賛成です。間違いを直されるだけの「受験勉強」的な言語の勉強なら、そっちのほうが断然楽しそうですしね!
でも、「間違っても大丈夫」なのは「学生」側であって、先生が「間違いを知らなくていい」というわけではないんです。知っていて敢えて「気にしない」のとそれとは、大谷選手と私ぐらいの非常に大きな差があります。
いくら「コミュニケーション重視」でも、先生はプロとして間違いの原因や対策を知っているべきでしょう。というわけで、今月は「典型的な間違いの原因とその対策」について議論したわけです。
「間違い」の原因 その1:見切り発車
今回は助詞(Particles)の間違いがメインです。
みなさんは、以下の( )に助詞を入れるとしたら、何を入れるでしょうか。
さて、今回もいつものように数名の小グループに分かれて議論開始!それぞれの間違いを指摘しつつ、そうなってしまう原因をディスカッションしていると、ある共通点が浮かび上がりました。それが「見切り発車」です。
どういうことかというと・・・先ほどの助詞を入れる質問に戻ります。どの助詞を入れましたか?恐らく次のようになったでしょう。
実は私には超能力が・・・そういうことではありません。それでも、あながち間違いではないのでは?これが「見切り発車」です。割と多くの人が名詞(のNominal)を見て助詞を選んでしまってはいないでしょうか。
助詞はその文節の述語に対する役割を決めるために使います。そう考えると、述語がないのに助詞の穴埋めをするのはナンセンス!
という反省を踏まえて、述語(ここでは動詞)を入れてみました。
どうですか? 述語(同じ動詞でも)であっても、いろんな可能性があると思います。もちろん、取り立て助詞:Secondary particle(セカンダリーパーティクル)も入れられますね!
なぜ助詞が難しいのか? こうして考えてみると「述語との関係性」が鍵となっているのがわかります。それを無視して練習してしまうと、「述語との関係性」を考えて使わないといけないのに、使えない。そういう本末転倒になってしまいそうです。それを防ぐには、しっかり「述語(核文型)は何か」を考えて使う、という発想を養う必要があるでしょう。
難しいと言われる #助詞 。結構多くの学生(先生も?)がしがちなのが「名詞で助詞を選ぶ」こと。 「3時」・・・「時間だから、『3時に』」とか。
— 日本語教授法「JUMPsystem」公式 (@_JUMPsystem_) 2023年3月16日
「述語(核文型)が決めるんだよ!」と大きい声で耳打ちしたいです。 #日本語教師 #日本語勉強中
覚えているフレーズを先に・・・
自身が外国語を使う時にもそうですが、覚えているフレーズってスムーズに出てきませんか。でも、そのせいで間違えてしまうこともあると思います。例えば「Yes, I do」が頭に残り過ぎて「Yes, I am」と言わないといけないのに「Yes, I do」が不意に出てきしまう。経験がある方も多いのではないでしょうか。これも「見切り発車」と似ていますね。
フレーズとして覚える、のは悪いことではありません。でも、それがどのような場面、状況で使うのかも併せて覚えないといけないのは言うまでもありません。また、あるフレーズをスラスラ言えても、それ以上が続かない、なんてことはよくありそうですね。これも気をつけたいところです。
さて、今回はものすごく雑に3月のJUMP会の内容についてまとめました。4月のJUMP会でも引き続き、間違いの具体的な訂正、防ぎ方を先生方と議論できればと思っています。
学習者主体でコミュニカティブもいいですが、やっぱり間違いは起こるものです。それを訂正するのも、防ぐのも先生の腕にかかっています。間違いを「気にしない」というのは結局学習者に大きな負担をかけていると思うのは私だけでしょうか。
ミステイク
気にせずtalk
身に付くコミュ力
教師の存在
ますます遠く
chatGPTに取って代わられる日はそう遠くないかもしれません。
よければこちらも!
①《レッスン1〜3》よくある日本語学習者のミステイク、どう直す!?JUMPⅠで論理的に解説【JUMPsystem JUMPⅠ(述語)】おいしいじゃないです・きれいくないです - YouTube
今回の曲:
隼