日本語教師のブルース

アメリカの大学で教えている日本語教師のブログです。

間違い、どう直す? その2 

 

先日、5月のJUMP定例会@ZOOMが行われました。※参加してみたい方は是非お問合せください。

 

ちなみに、定例会は毎月第4土曜日に、2時間で行っています。流れは・・・ 

 ①全体で課題の確認

 ②小グループで意見交換・議論

 ③全体で共有、議論

 ④鈴木先生によるまとめ

 ⑤会終了後の井戸端会議(希望者のみ)

 

基本的に毎回JUMPの知識を得る、深める、応用するための課題があります。色々な地域で教えている先生方が参加しているので、JUMP以外の情報交換の場としても!

 

 

 

点と点が線で繋がるJUMPsystem

今回も「典型的間違い例」を分析していきました。

日本語母語話者であれば、「何が間違いか」はすぐにわかる。でも日本語教師の仕事は「どうして間違いか」を指摘すること。さらに指摘するだけではなく、訂正しなければならない。それも「こういうもんだから」ではなく「なるほど」と納得できる方法で。

 

それができるのがJUMPsystem!

 

なんだかしっくりこない・・・

それをわかりやすく実感できたのが以下の問題。なんだかしっくりこない文ですが、みなさんならどう直しますか?

 

「とても大きくて、日本の伝統的で、古い家です」

 

文法的に見ると、「て形」で文をつないで最後の「古い」で「家」を修飾しているのですが、なんだかひっかかる。ひっかかった時に「意味」から分析をしてしまうと、「客観的なルール」ではなく、先生個人の「主観的ルール」になってしまうので避けたいところ。

 

分解してはみたものの

私も頭を捻って文を分解してみました。

(その家は)とても大きいです。

(その家は)日本の伝統的です。

(その家は)古い家です。

 

「て形」で繋げられるということは主語は同じ。でも「日本の伝統的」がしっくりこない。そこで、次のように直しました。

 

(その家は)「伝統的」です。

 

これなら、「とても大きくて、伝統的で、古い家です」とスムーズに繋がる!でも肝心の「どうして『日本の伝統的』ではダメなのか」がはっきりしませんでした。「日本の伝統的な家」ならいいのだけど・・・そう考えているとJUMP歴が長い先生が「なNominalだからだよ」とズバリ!※「なNominal」とはいわゆる「な形容詞」ですが、JUMPでは機能面が「のNominal(=名詞)」と同じことに着目し「なNominal」と名称を変えています。

 

「なるほど!」とてもスッキリ!

 

JUMP3−3:「コネクターの『の』」

JUMPでは「JUMP1:3つの述語」、「JUMP2:助詞」、「JUMP3:修飾」の3つを基本としています。ここで重要なのが「JUMP3」です。それも「JUMP3-1:コネクターの『の』」です。これは「のN」と「のN」とを単純に繋げて「のN」を修飾する役割があります。

 

例:「のNのN」「私本」「日本語先生」

※「日本人の先生」は「きれいな先生」と同様に「JUMP3-3:述語の普通形による修飾」という点に注意!「日本人じゃない先生」「日本人だった先生」「日本人じゃなかった先生」と活用できますからね!

 

このルールを知っていると、「日本の伝統的」がしっくりこない理由が説明できますね。

そう、「日本(のN)」と「伝統的(なN)」では「のNのN」が成り立たないのです!

さらにいうと、「日本の伝統的な家」でもいい感じなのも「日本(のN)」と「伝統的な家(修飾されたのN)」だから、となるわけです!一貫していますね〜。

 

さて、今回はJUMP会の報告も兼ねて、特に私が「JUMPでスッキリ」した経験を書き殴りました。教える側がスッキリできるということは学生にもスッキリ教えられる可能性が高くなるということ。まだまだ伸び代がある=勉強することがあることを痛感しました。

 

私が働くアメリカの大学は絶賛夏休み中です。

そんな私は一時帰国をし、以前の職場でまた教えています。一度外に出て、改めて戻ってみると同じ日本語教育でも違うことが多いことに気付かされ、刺激的な毎日を過ごしています。また報告します!

 

点と点

繋げて見える

日本語の像

肉づくほどに

広がる自由度

 

繋げてもゴチャゴチャだと学ぶ方も教える方も大変ですね。

JUMPは日本語教育ミニマリストです。

 

 よければこちらも! 

【文法解説】この「の」はどの「の」?日本語の色々な「の」について文法的に説明します!「日本語の先生」「日本人の先生」「きれいなの」 - YouTube

 

今回の曲:

Love (Ultimate Mix) - YouTube