日本語教師のブルース

アメリカの大学で教えている日本語教師のブログです。

アメリカで荷物が無くなったら ~Lost Baggage~ その1

今回は日本語教育から少し外れてアメリカ生活について。

渡米直後の夫婦に起こったアメリカらしい「スーツケース紛失」事件をお伝えします。

 

渡米に際し、「荷物が届かなかった(無くなったら)らどうする?」、「どんなスーツケースがいいのか」等、疑問をお持ちの方にはヒントになるかもしれません!

 

 

 

荷物がなくなったら

アメリカで荷物がなくなったら、どうするか。メール・受付フォームはやめましょう。よほど運が良くない限り、見つからないと思います。「直接電話する」これが最善です。それも空港の受付センターや現地の担当ではなく「日本の航空会社の担当」に「直接電話する」こと。これが最善の方法です。何時間も留守電で待たされますが、急がば回れです。※もちろん、現地の担当に電話してもいいと思います。私の場合は全く効果ありませんでしたが(詳細は後述します)。

 

スーツケース

スーツケースは壊されることを前提に購入を。強運の方は別。長期の方はハードよりも荷物が入るソフトケースがおすすめです。ソフトのため、投げられても上に積まれても割れることはありません。ただ、中身には気をつけなければなりませんが。

 

防犯対策は?

「中身が盗られないか」「鍵は壊されないか」という心配もあると思います。アメリカが開発したTSAロックが付いているものを購入すればOK。係員がマスターキー鍵が壊される心配もなく安心!・・・というのは事実無根です。その情報に躍らされ購入した2つのスーツケースのTSAはしっかりと破壊されていました。一番間違いないのは、スーツケースには貴重なものを入れない。怪しまれて開けられるようなものを入れない。それだけで防犯です。あと、間違われないように目印をつけておくのもお忘れなく。

 

さて、長くなりましたが妻と私の荷物追跡劇に入ります。よければ読んでみてください。

経験から得た教訓。

・・・アメリカは先進国ではなく、先進の人がたくさん集まっている国だ。

 

荷物がない

羽田を離陸後13時間。ようやく長時間のフライトを終え、ニューヨークのJFK国際空港に到着。疲労困憊の中、入国審査の長蛇列に並ぶこと、2時間弱。※時はまだコロナ禍。しかし、ほとんどノーマスク+密。待った甲斐がないほどあっさりと審査を終え、荷物を受け取りにセキュリティへ。

審査ゲートを通るまでかなりの時間が経っていたため、私達が乗ってきたJAL便の荷物は全てレールから乱雑に下ろされていた。我々の買ったばかりのスーツケース2台と大きめのバッグが仲良く並んでいたため、スムーズに荷物を回収しセキュリティを通過。

 

セキュリティを出ると、各航空会社の受付カウンターがずらりと並ぶ。乗り継ぎの人はそこで再受付をする。私たちも乗り継ぎ便のAmerican Airlineの受付にて荷物を預ける。受付の女性に「4つじゃないの?」と言われるも、この時は全く反応できず、「いや、これだけ」と受付完了。空港内のモノレールで出発口がある別ターミナルに移動。コーヒーでも飲もうかと思った矢先、もう1つカバンがあったことを思い出す。あまりにも仲良く並んでいた3つの荷物に浮かれ、もう1つの存在が頭から抜けていた。

慌てているとお喋りしている係員を発見。不慣れな英語で相談すると、3ヶ所ならぬ3係員たらい回しに。ようやく最後の係員に「1階にBaggage問い合わせセンターがあるから、そこへ行け」と道を示される。

 

Baggage問い合わせセンターへ

センターには多くの荷物と結構な数の相談者を捌く2人の受付(と、延々と2人に喋りかけるだけの職員が1人)。とりあえず列の最後尾に並び、順番を待つ。すると列をくぐり抜ける金髪女性。受付に到達するや否や「私の荷物が無くなったらどうする!?」と喚き立てる。受付に「順番に対応するから列に並んでください」と言われたようで、「列があったなんて知らなかったわ」と渋々最後尾に。各5、6人が並んでいる2つの列が見えないほど、気が動転しているのだろう。そんなことを考えていると私の番がきた。

 

荷物はデータで管理されている

氷のような青い目をした受付の女性に「名前」、「搭乗便」、「パスポート番号」を無愛想に聞かれる。パソコンを見つめる受付を落ち着かない気持ちで見つめる。しばらくすると「何か問題ですか?」とこれまた無愛想に聞かれる。呆気に取られながらも4個中1個を取り忘れた旨伝え、荷物引換券(バーコード)を見せる。引換券をガサツに取り、番号を入力、確認する受付。程なくして、口元だけ笑顔で「荷物は全て受付完了済み」と受付。「乗り継ぎ受付に持って行かなかったのに?」と聞き返すと「データが入っているから大丈夫」の一点張りの受付。

受付にお礼を言い、センターの外で待機していた妻に「大丈夫そう」と報告。「係の人が余った荷物のデータを見て、各便に分けてくれているんだろうね」なんて話しながら、ホッとした気持ちで出発ゲートに向かった。その時の純粋さを、今は可愛らしく思う。

 

いざ、荷物受け取り

1時間弱の国内線であっという間に目的地に到着。迎えに来てくれた恩師とも再会。渡米が決まってから本当にバタバタだったため、「ようやくたどり着いた」と肩の力が一気に抜けた。レーンが動き出し、搭乗便の荷物が流れ出てくる。「本当にちゃんと全部あるのか」と半信半疑で荷物を待つ。1つ目、2つ目をテンポ良く発見し、少し間が空き3つ目を回収。この3つ目が「取り忘れた」荷物だったため「おぉ、ちゃんときた」と一安心。しかし、4つ目が来ない。嫌な予感がしたところでレーンがストップ。私の思考もストップした。

 

Baggage問い合わせセンターをはしご

レーンに残された荷物を確認したが、見当たらない。「届かないかもしれない」と心配した荷物はある。「受付していない」荷物だ。しかし、「受付した」荷物がない。「届かないかもしれない」なんて1ミリも思う余地はなかった。何がどうなっているのか整理をしようとしたがまとまらず、混乱が気力を一気に抜いた。幸い、こんなときどうすればいいいのか、すでに学習済みだった。失意のまま辺りを見回し、「Baggage問い合わせセンター」を見つけた。小さいセンター内はすでに2名の列でいっぱいだった。センター外の最後尾でしばし待つ。威勢の良い声で「SIR!」と呼ばれる。元気な声に、「これは期待できそうだ」と思った私の純粋さを今は誉めてやりたい。

事情を説明すると①JFKに残っている、②別の場所に行っている、③間違えられた(盗まれた)、3つの可能性があると推理される。推理①に期待を込め、JFKに連絡を取ってもらうも、繋がらず。名前、住所、連絡先を登録し、吉報を待つことになった。帰り際、威勢の良い受付は「よくあること」と励ましてくれた。…よくあっていいの?と、どっと疲れが押し寄せた。

 

つづく。

 

次回予告。

2ヶ月の問い合わせ生活

妻の粘り

ついに発見→衝撃の事実