日本語教師のブルース

アメリカの大学で教えている日本語教師のブログです。

「は」と「が」

「は」と「が」について

前回の記事で日本語の基本文型について考えました。興味深かったのが、多くの例文では「〜は」となっているにも関わらず、基本文型としては「〜が」となっていた点です。主語としての「〜は」のイメージが定着しているのがわかります。

 

面白いのは、基本文型では主語を「が」として、例文を「は」としている点です。

 

「が」=「は」?

基本文型では主語が「が」なのに、例文では「は」に変わっている。ここがキーになっていると思います。多くの人は基本文型そのものよりも例文を見るはずなので。その結果、「は」も主語だ!!という勘違いを引き起こしているのではないでしょうか。

 

「は」は主語?

例えば「私は先生です」という文では、「私は」は「先生です」に対して主語の位置にきていますね。「じゃあやっぱり主語じゃん」となるのが普通です。そのせいで「私が先生です」となった場合に、「何が違うのか」論争が起きるわけです。その論争の手立てが「意味論」になるから厄介です。

「文法」を考える上で、意味論が「最優先」であってはならないと思います。意味論はどうしても教える側と学ぶ側に「曖昧さ」が生まれるからです。

※といっても、日本語で「は と が 違い」と検索しても英語で「difference between は and が」と検索しても出てくるサイトは意味論ばかりですが。

 

そこで、登場するのがJUMPsystemです。JUMPでも、もちろん「意味」は教えますが、それよりもまずシステムとしての文法を重視します。

 

続「が」=「は」?JUMP的見解 

「が」と「は」の違いにシステムがあるのか。あります。ただし、JUMPでは「が」と「は」だけの対立ではなく、助詞(Particle)全体のシステムとして捉えています。

それがPrimary Particles(PP)Secondary Particles(SP)です。「が」がPPに、「は」はSPに属しています。

※Primaryは「最初のもの、重要なこと」など、Secondaryは「第二の、補助的なこと」という意味をとってそれぞれの助詞を名付けてあります。日本語文法や国語文法でいう格助詞取り立て助詞(副助詞)」にあたります。

 

名前の通りPPがあって、SPがある。つまり、PPがなければSPは使えない、ということです。これってすごく分かりやすい理屈(システム)だと思うのですが。そのシステムが分かった上で、PPとSPそれぞれの役割(意味)を考えるともっと分かりやすくなります!

 

PPは、文節(セグメント)を作る。その文節の述語への役割(意味)を示す。

SPはPPのあとに付く。PPが作った文節に意味を付加する。

 

詳しくみていきましょう!

 

PP+SP=?

ところで、「が」=「は」?という問題ですが、JUMP的見解では✖️です。じゃあ何が起こっているかというと、元々あった「が」に変わって「は」が使われているように見えるだけなんですね。つまり、「が」が消えてしまっていると。※いや、実は諸論文やサイトでもその点を指摘しているのですが。

「が」が消える過程

「が」が消えたからといって、「が」が作った文節の意味は消えていません。「私」=「主語」のままです。「は」が「が」の意味を引き継いだわけじゃなくて、意味を付加しただけ。

「が」は消えても・・・

つまり、一見SPしかなくてもそこにはPPの意味が存在している、ということですね。まとめると、

 

①助詞にはPPとSPがある。

②SPはPPがないと使えない。

③PPが消えても意味は残る。

④SPは意味を付加するだけ。

 

こうなります。

 

「が」と「は」についてみてきましたが、それだけではシステムとは言えません。助詞全体をPPとSPというシステムに当てはめて考える、というのがJUMP的見解です。

なので、PPとSPの一例として「が」と「は」をみているだけで、他のPPとSPをみても、システム上は同じなんです。つまり、「が(PP)」に「は」以外のSPが付いたとします。その時、「が(PP)」がどう変化するか・・・。

 

同じです。もし式にするなら「が+SP=SP」ですもんね。

「は」というSPが来て、「が」が消えるのなら、どんな「SP」が来ても「が」は消える!そんなシンプルなシステムなんです。それが「が(PP)」なんです。でも、「が」の意味は消えず、そこにSPの意味が加わる。・・・すごくパズルっぽいですよね。※でも、パズルって当てはまれば「曖昧さ」は出ないんです。ということは、先生と学生との間で、きちっと理解が一致できるんです!

 

ここからがJUMPの真骨頂です。繰り返しますが、JUMPは「が」、「は」だけの対立ではなく、PPとSPというシステムで捉えています。つまり、PPとSPのシステムとその種類を知りさえすれば、助詞なんて難しくないんです。むしろシンプルになるんです。教えることがシンプルになれば、それを使う練習に時間が避けるので一石二鳥ですね。

 

PPとSPの中身

それでは、PPとSPにはどういう種類があるのか。気になりますよね。

 

 

 

また次回!

 

 

「は」と「が」とを

調べてつもるは

雪の如し

雪解け待てど

残るもやもや

 

Particleならパッとくるほうがいいのです。

 

助詞について、ご意見をお待ちしています!

 

 

Q: 「は」と「が」?「PP」と「SP」について 

⑧《レッスン3・4・5》助詞は驚くほどシステマチックです!【日本語教師必見】格助詞と副助詞のシステマチックさに目から鱗✨【JUMPsystem JUMPⅡ(助詞)総まとめ】 - YouTube

 

今回の曲:

Everybody had a hard year - HASYMO - YouTube