日本語教師のブルース

アメリカの大学で教えている日本語教師のブログです。

日本語の文型について

日本語の基本文型について

JUMPの視点から日本語の核文型(基本文型)について調査しています。

 

文型の種類は「格助詞の種類」かという問題や「必須成分の捉え方」などによって異なるため、統一的な見解はなく「だいたいみんなこんな感じ」というのが通例となっています。論文を拾い読みしてみても同じ感じです。

 

とりあえず、ネットを駆使して先人の知恵を拝借してみようと思い、「日本語 文型」と検索してみて表示された順に中身を見ていきます。

 

まずはこちら。

「【要点まとめ◎】日本語を教える前に知っておきたい日本語文法の基礎10選! | 日本語教師キャリア マガジン(旧称:日本語情報バンク)」

https://japanese-bank.com/nihongo-how-to-teach/japanese-grammar-to-teach/#i

日本語教師キャリアマガジン より

こちらでは、「3つの基本文型」は①「動詞」、②「形容詞」、③「名詞」が「述語になる文型」と表現しています。つまり「3つの述語」を「基本」として「文型」がある、という理解でしょうか。それだと「3つの基本文型」という書き方はちょっと???

こちらのサイトでは「形容詞」=「い形容詞とな形容詞」という一般的な考えです。

 

続いてはこちら。

「日本語の基本文型 | 日本語教師の広場」

https://www.tomojuku.com/blog/basic-sentence-pattern/

 

このサイトでは「三つの基本文型」=「述語」と捉えている?ようです。

日本語教師の広場より

「述語」を3つと言い切っている点はJUMPと同じですが中身が違うことがわかります。こちらも一般的な①「名詞文」、②「形容詞文(い形容詞とな形容詞)」、③「動詞文」の分け方ですね。

 

ただし、3つと言い切っていた「基本文型」を、ページ下部では「基本文型」は「おおよそ10種類」だと紹介しています。前半の「3つの基本文型」は「述語」で間違いなさそうですね。

 

日本語教師の広場 より

「名詞」と「な形容詞」ですが、例文はどちらも「だ」があるのに、小見出しは「名詞+だ」と「ナ形容詞」となっています。「形容詞」という名前の影響の大きさといったら…。

 

こちらのサイトでは「基本文型」は10種類となっています。いくつかのサイトでも同じ種類を「基本文型」として紹介していることから、上記10種類が「主流」なのかもしれませんね。「参考元」があれば、さらに調査ができたのですが・・・残念。

 

続いては、こちら。

「日本語の基本文型=補語+述語4つ: webnote」

https://webnote.cocolog-nifty.com/note1/2013/03/post-1c66.html

こちらのサイトはJUMP公式HPでもリンクを貼らせていただいています。

こちらは「基本文型」を構成する「基本補語」を6つに絞り、①「動詞」、②「い形容詞」、③「な形容詞+だ」、④「名詞+だ」の4つの述語を当てはめています。

 

webnote より



 

補語が同じなら文型を分ける必要はない、という考え方が面白いですね!シンプルにしたいという熱意が窺い知れます。

こちらはJUMPと同様に、な形容詞にも「+だ」の表記がありますが、「名詞+だ」とは別だと考えているようです。それは(表1)基本文型が「い形容詞」と一致していることが理由かもしれません。 一致していない文型②と⑤には「ヲ格」(目的格)がありますが、「動詞」のみではなく、「名詞+だ」も使用可能「かもしれない」ということでしょうか。それがなければ、「な形容詞」も「名詞」も「+だ」が必要=同じ述語と考えてくれるかもしれませんね。

 

ちなみに「表2」は「んです」を用いて「名詞述語化」しているものです。「名詞+だ」を仲間はずれにしているのは「すでに名詞述語」だからでしょうか???

 

こちらに紹介していないサイトや論文を見ていても、「基本文型」が統一されていないことがわかりました。理由としては以下の2つでしょうか。

 

①名称の中身がごっちゃになっている 例:「述語」、「基本文型」、「〜文」等

②そもそも引用元が同じ

 

それでも、「文型は大事」や「日本人はわかるけど、学習者はわからない」などのメッセージは共通しているようでした。 「な」がつくのが「な形容詞」と言わなくなる日も近い?

 

さて、長くなりましたが、JUMPで考える基本文型を紹介します。ただし、JUMPでは、「基本文型」を「核文型」と定義します。「核」となる文型があり、そこから派生してできる「基本文型」がある、と考えるからです。つまり、次のように考えています。

 

「核文型」=「核となる文型」

「基本文型」=「提示する文型の基本型」

 

中には「核文型」ではなく、「基本文型」として提示したほうが学生がわかりやすい文型もありますよね。

 

JUMPで考える核文型は以下の10種類です。

 

JUMP的 核文型一覧

N+C系(いわゆる名詞とな形容詞)とAdj系(い形容詞)がそれぞれ2種類ずつ、Verbal系(動詞)が6種類です。Verbal系は更にITV(自動詞)とTV(他動詞)で分けています。

 

これまで見てきた「基本文型」であったような「〜が〜にAdj」、「〜が〜にN+C」は核文型には入れていません。あくまで「〜がAdj」または「〜がN+C」を「核」として考えているからです。それと同様に、上記⑨と⑩も「核文型」とするべきか「基本文型」とするべきか、まだ検討中です。

 

また、俗にいう「〜ハ〜ガ文」が「基本文型」として出ていない点には驚きました。JUMPでは上記②、④、⑦が対応しますが、PP「が」がSP「は」をとって「表面上消えただけ」なので、SP 「も」や「だけ」、「しか」が来ても同じです。

 

上記の「核文型」はまた変わるかもしれません。その都度更新します。

 

 

基本形

なければすべて

フリーダム

聞こえはいいが

出来栄えいかに

 

基本文型について、ご意見をお待ちしています!

 

 

Q: 「んです」って何? 

《レッスン7》Extended predicate 「〜のだ」「〜のです」「〜の?」意味と文法的解釈(JUMPsystem) - YouTube

 

今回の1曲:

HAPPY XMAS (WAR IS OVER). (Ultimate Mix, 2020) John & Yoko Plastic Ono Band + Harlem Community Choir - YouTube